排卵促進剤の種類と副作用
2016年11月9日
不妊治療では排卵促進剤を使うことが多いです。
排卵促進剤は排卵を逃さないようにタイミングを掴む為や
自然に排卵することが難しい時に有効な薬ですが
ホルモンを人工的に調整するので、身体への影響は少なくありません。
どんな薬でも効果と副作用を理解した上で
治療に臨みたいです。
(排卵促進剤を使う理由は?)
通常、1カ月に1個の卵子が排卵されます。
排卵障害がある場合
排卵促進剤で卵巣を刺激することによって排卵させます。
また、無月経、生理不順、多嚢胞性卵巣症候群の時や
排卵日を把握してタイミングをはかったり
人工授精、体外受精での妊娠率を上げる為に使われます。
(排卵促進剤の種類)
(飲み薬)
・クロミッド(成分名:クロミフェン)
・フェミロン(成分名:クロミフェン)
・セロフェン(成分名:クロミフェン)
・セキソビット(成分名:シクロフェニル)
・フェマーラ(成分名:レトロゾール)
■クロミッドやセキソビットは
脳の視床下部のエストロゲンセンサーをブロックします。
その結果、「脳」はエストロゲンが足りないと勘違いするので
黄体刺激ホルモンと卵胞刺激ホルモンの分泌を増やし
その結果、排卵を促すことになります。
クロミフェンはシクロフェニルより強力です。
■フェマーラはもともと乳がん治療薬で
エストロゲンを抑制します。
エストロゲン少なくなると排卵前と同じ状態になるので
排卵し易くなります。
フェマーラは体外に出るのが早く
子宮内膜症の方でも安心して使えるという利点があります。
また、卵巣刺激症候群になり難い利点があります。
他の排卵促進剤のように複数の卵子が排卵することは少なく
育った1個の卵子を排卵させます。
(注射薬)
・HMG注射
・HCG注射
経口薬で効果が少ない時
注射薬による排卵誘発治療が行われます。
・HMG注射は脳下垂体ホルモン(FSH,LH)の作用で
かなり強い排卵誘発効果があります。
・HCG注射は
発育した卵胞を排卵させる機能や黄体機能を維持させるLH(黄体化ホルモン)
と同じ作用があります。
HCG注射の30~40時間後に排卵します。
月経の3~5日目からHMG注射を連日行い
超音波検査で卵巣の状態をみて、卵胞の大きさが充分になったら
HCG注射で排卵を促します。
クロミフェン内服薬などで卵胞を成熟させた後、
HCG注射で排卵を起こさせる方法もあります。
(副作用は?)
●卵巣過剰刺激症候群(OHSS)
排卵促進剤で卵巣が過剰に刺激された結果
卵巣が夏ミカン位の大きさに腫れてしまい
さらには腹水、胸水も溜まる病態です。
お腹が張る、急な体重増加、尿の量が減る、息苦しいなどの
症状に気が着いたら、すぐに担当医に相談しましょう。
多嚢胞性卵巣症候群のある方は特に注意しましょう。
●子宮内膜が薄くなる
クロミフェン(製品名:クロミッド)などは
子宮内膜が薄くなるという副作用があります。
子宮内膜が薄くなると、着床が難しくなる可能性があります。
●頸管粘液が減る
頸管粘液は排卵時に分泌が増え
精子の進行を助けます。
クロミフェンなどで頸管粘液の分泌量が少なくなることがあります。
●頭痛、吐き気
排卵促進剤で頭痛や吐き気などの副作用が起きることがあります。
●注射部分にアレルギー反応
注射部位が赤く腫れることがあります。
●多胎妊娠
同時に多数の卵子が排卵する結果
双子や三つ子などの妊娠確立が上がります。
●血栓ができやすくなる副作用があります。
個人により感受性の差があるので
副作用には個人差があります。
担当医の話をしっかり聞きましょう。
自分自身でも効果と副作用を把握しておいて
不安があったら我慢せず、担当医に照会しましょう。
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