妊娠と歯の健康①妊娠性歯肉炎
2019年3月9日
「妊娠すると歯がダメになるのは赤ちゃんにカルシウムを取られるから」
とよく言われます。
胎児の骨形成に必要なカルシウムは
胎盤を通して母体から移行しますが
その量は30g程です。
母体が持つ全カルシウムの2.5%に過ぎないので
この俗説は当たってはいません。
でも、妊婦さんが歯の健康を損ねやすいのは確かです。
原因は妊娠後の女性ホルモンホルモンが急激に上がる為です。
~妊娠中のホルモンが歯肉に影響~
妊娠すると、エストロゲンとプロゲステロンの血中濃度が
急激に上昇します。
すると全身の血管の透過性が亢進して
歯肉の腫れや出血、歯肉溝浸出液が増加します。
エストロゲンとプロゲステロンの急激な上昇で
炎症を起こし易くなり、免疫も低下する働きがあります。
「歯肉炎」は歯肉の発赤、腫脹、出血する症状です。
「歯周炎」は炎症が歯を支持している歯槽骨の吸収や
歯根膜の破壊までいたったものです。
(「歯肉炎」と「歯周炎」を含めて「歯周病」と呼びます)
妊娠と直接関係があるのは「歯肉炎」で
「妊娠性歯肉炎」と呼ばれます。
「妊娠性歯肉炎」の発症率は
妊娠の30~60%という報告があります。
健康プラスVol.21より