子宮内膜症と妊娠
2016年7月23日
「子宮内膜症」は子宮内腔や子宮体以外の場所に
子宮内膜やそれに類似した組織が増殖する疾患です。
生殖年齢の女性の１０～１５％にみられます。
不妊相談の方に腹腔鏡を使って検査すると
６０％の方に見つかるということです。
子宮内膜症の組織では
血中ホルモンの増殖に合わせて
子宮内腔や子宮体部以外で増殖や剥離が起こり
月経時には出血します。
増殖のみ起こり、出血しない場合もあります。
腹腔内などに出血した血液は血腫を形成して
「ブルーベリースポット」と呼ばれる小さな嚢胞になります。
卵巣ではこの嚢胞がチョコレート状なので
「チョコレート嚢胞」と呼ばれます。
原因については
免疫異常説、
体腔上皮化説（腹膜がエストロゲンや月経血の影響で子宮内膜組織のように変化した）
逆流説（月経血が卵管を逆流して起きた）
など色々な説がありますが、
はっきりとした原因はわかっていません。
症状としては
まず、激しい生理痛です。
生理中ばかりでなく、排卵痛や生理前も痛みがあることがあります。
腹痛だけでなく肛門の痛みや排便時の痛み
性交痛、膣の奥の痛みなどもあります。
痛みに嘔吐や悪心を伴うこともあります。
一般的に生理になると便が緩くなる傾向がありますが
子宮内膜症の方では、さらに何回も下痢するという方がいらっしゃいます。
生理の経血が多く
レバー状の塊が多くなりがちです。
また、生理がだらだら長引いたり
チョコレート色の経血が続き
生理がスッキリと終わらないということもあります。
腸が癒着すると、腸閉塞の危険も伴います。
子宮内膜症は「妊娠が不利になる」原因になります。
排卵し難くなる
卵管の通りが悪くなる
卵子のピックアップがうまくできない
卵子の質の低下
着床し難くなる
などの理由からです。
色々の理由が重なることもあります。
以上のように、物理的に妊娠が妨げられる原因にもなりますが
子宮内膜症に伴って「様々な物質」が分泌され
その「様々な物質」によって
子宮内や子宮の環境が変化することも
妊娠し難くなる原因になります。
鎮痛剤で痛みを止めるだけではなく
子宮内膜症は早めに治しておきたいです。
子宮内膜症の不妊治療には
薬物療法、手術療法、体外受精があります。
軽度の場合で、卵管に異常がなければ
自然妊娠を望めます。
薬物療法、手術療法、体外受精のいずれの場合でも
漢方薬を併用すると
治療効果を上げる助けになります。
東洋医学での「子宮内膜症」の考え方とは・・・
東洋医学的では子宮内膜症の症状を
『「肝（かん）」と「腎（じん）」の失調』と考えます。
漢方でいう「肝」とは気や血の流れを調整している場所です。
ストレスなどで「肝」の機能が低下すると「気滞」という
「気の流れの滞り」が起きます。
気滞の為に子宮以外の場所で子宮内膜の細胞が発生し
気滞の為に血の滞りが発生すると考えます。
また、漢方でいう「腎」は
西洋医学でいう腎臓と免疫機能、生殖、ホルモンに関する臓器です。
「腎」の機能が低下した為に
本来、子宮で増殖する細胞が子宮以外のところで増殖するとも考えます。
漢方は身体を部分的だけでなく
身体全体からみます。
胃腸の状態を含め、身体全体の症状もお聞きして
肝・腎を含め、身体のバランスを整える処方を選びます。
子宮内膜症は「於血（おけつ）」といって
生理的に循環していない血液を伴う症状ですので
「於血」を吸い出しきれいにする薬草も併用します。
身体のバランスを整えると治癒力が湧き
子宮内膜症が軽症になり楽になっていくお手伝いができます。
また、子宮内膜症の痛みに汎用される「鎮痛剤」ですが
「鎮痛剤」は治している訳ではありません。
「鎮痛剤」を漫然と使続けていると
胃の負担になります。
また、血液障害の副作用から、貧血になる可能性があります。
あづみ薬店では血液障害の心配がない
漢方配合の鎮痛剤をお勧めしています。
子宮内膜症がよくなり、
「鎮痛剤」が減らせるように治療してゆきましょう。
女性の下腹部臓器は構造が複雑で
血の巡りが悪くなり易い場所です。
女性は繊細な生理周期がある為
ストレスで心身の健康が乱れ易いです。
子宮内膜症の方は勿論
女性（更年期以降の女性も）は
漢方で血流とホルモン系を整えてゆきましょう。
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